以下では、近年の高松宮記念の傾向を整理しつつ、2025年の出走予定馬それぞれの特徴を踏まえた見どころをまとめました。なるべく専門用語を噛み砕きながら、サッと読んでポイントがつかめるように解説しています。ぜひ馬券検討やレース観戦の参考にしてみてください。
高松宮記念とは?
高松宮記念は春の短距離GⅠとして、毎年3月下旬に中京競馬場・芝1200mで行われる電撃のスプリント決戦。
- 舞台は中京芝1200m:最後の直線に急坂があることもあり、先行しすぎると失速しやすく、追い込み一手だと届きにくい、絶妙なバランスが要求されるコースです。
- 春のGⅠ開幕戦的な存在:実力上位馬のみならず、新興勢力が一気にブレイクするケースも多く、毎年波乱含みのレースとして注目度が高まっています。
過去10年(2015~2024年)の主な傾向
1. 血統の傾向
- スピード系種牡馬が好成績
サクラバクシンオー産駒やロードカナロア産駒といった短距離血統が並んでおり、海外スプリント系(Scat DaddyやSpeightstown、Dark Angelなど)も存在感を示しています。 - ニジンスキーなどスタミナ補完系もプラス
スプリント戦とはいえ、高速決着やハイペースに耐えられるスタミナも必要。ニジンスキーやStorm Catなど欧米由来の血を内包している馬が台頭するケースも少なくありません。 - サンデーサイレンス系は少数
全くダメではありませんが、優勝馬はナランフレグ(2022年)のみ。純粋な瞬発力勝負というより、スピードと持久力の“総合力”が問われやすいことが影響していそうです。
2. 枠順の傾向
- 極端な有利不利はないが、馬場状態次第
リニューアル後(2012年以降)のデータでは内と外で大差はありません。ただし、 - 良馬場 → 内枠先行馬が有利
- 湿った馬場(稍重以上) → 外枠勢が伸びやすい
という傾向が顕著です。とくに7~8枠の大外勢は道悪になると連対率が上昇するデータが見られます。
3. 騎手の傾向
- トップジョッキーの手腕が光りやすい一方、伏兵台頭も
川田将雅騎手(2勝)など、GⅠ実績の豊富な騎手が勝つ年もあれば、2022年ナランフレグで初GⅠ制覇を飾った丸田恭介騎手、2023年ファストフォースの団野大成騎手のように“新星ジョッキー”が波乱を演出するケースもあります。 - 中京コース巧者に注目
中京芝1200mは直線に急坂があり、コース特性を熟知した騎手が仕掛けどころを心得ていると好結果に繋がりやすいとも言われます。
4. 脚質の傾向
- 先行~差しが主流。中団やや前目が理想
4コーナーで4~8番手くらいにいる馬が上位を占めやすく、後方一気や逃げ切りは難度が高め。 - 逃げ馬の馬券圏内はごくわずか
モズスーパーフレア(2020年)、ハクサンムーン(2013年)など、特殊な展開を味方につけないと粘り込みは厳しい印象があります。
5. 前走レース(ローテーション)の傾向
- GⅢの主要前哨戦組が好調
オーシャンS・阪急杯・シルクロードSのいずれかを使ってきた馬が上位を独占するパターンが多いです。 - 前走1~2着馬の信頼度アップ
前哨戦で連対している馬ほど、本番でも崩れにくい傾向。逆に大敗組でも主要前哨戦経由なら巻き返しの余地あり。 - 海外GⅠ帰りは仕上がり次第
香港スプリントなどを経てぶっつけで挑戦する馬もいますが、臨戦過程が難しく調整面の完成度が鍵になります。
6. 馬場状態の影響
- 良馬場なら高速決着、道悪なら波乱も
過去には1分07秒を切るレコード決着が出る一方、雨で脚抜きが良くなると差し決着や高配当が頻発。 - “道悪+外枠”で人気薄が激走
2022年ナランフレグ(8番人気)や2023年ファストフォース(12番人気)が勝利するなど、渋った馬場では一気に波乱含みになります。
2025年・出走予定馬の注目ポイント
今年は昨年のスプリントGⅠ優勝馬が複数参戦し、実績ある古豪と若い新鋭が入り混じる混戦模様。ここでは主要馬の特徴と枠順・脚質・前走ローテなどを踏まえて簡単にまとめました。
マッドクール(牡6)
- 昨年の高松宮記念覇者(父Dark Angel)
- 1枠1番からのスタートで連覇を狙う
- 道中は中団差しが基本で、昨年は稍重をものともせず差し切り勝ち
- 今年もぶっつけで本番へ。実力は最上位クラスで仕上がりが鍵
トウシンマカオ(牡6)
- 昨秋から重賞2連勝中(父ビッグアーサー)
- オーシャンS組の1着馬は好成績が多く、ローテも文句なし
- 6枠12番で、先行してもよし、控えてもよしの器用さが武器
- 昨年6着からの雪辱戦だが、今の充実ぶりなら上位争い必至
ナムラクレア(牝6)
- GⅠ実績豊富、昨年の高松宮記念2着馬
- 前走は阪神カップ(1400m)勝利→今年も同じローテ
- 7枠14番と外めだが、馬場が渋ればむしろプラス材料
- 差し脚質で堅実な末脚が魅力。今年も上位候補に挙がる
サトノレーヴ(牡6)
- 父ロードカナロア(高松宮記念2勝種牡馬)
- 昨年は函館・キーンランドC連勝、香港でも3着と好走
- 5枠10番から先行~好位差しが理想的
- 海外遠征帰りでレース間隔が空くが、仕上がり次第で一発ある
ビッグシーザー(牡4)
- 昨年末の京阪杯を勝利(父ビッグアーサー)
- 3枠5番、内目の好枠を獲得
- 中京芝1200mの重賞勝ち実績あり、コース適性は申し分なし
- GⅠ初挑戦でも勢いと血統の後押しでダークホースになり得る
カンチェンジュンガ(牡4)
- 今年の阪急杯を武豊騎手と制覇
- 4枠8番からの先行差しが狙い
- 1400mの実績はあるが、1200mでも対応可能かがカギ
- 武豊騎手は高松宮記念3勝の名手。騎手人気で注目度も高い
エイシンフェンサー(牡5)
- シルクロードSの勝ち馬
- 2枠3番の内枠から先行押し切りが得意パターン
- 前哨戦1着馬の信頼度は高く、中京1200m実績もプラス
- 開花したスプリント能力がどこまで通用するか見逃せない
グランテスト(牡4)
- シルクロードS2着馬
- 6枠11番、先行力の安定感が強み
- 勝ち切るまではあと一歩だが、展開さえ向けば上位進出もあり
ウインカーネリアン(牡6)
- マイルGⅢで2勝を挙げた実力馬
- 今回1200mへ初挑戦で、5枠9番からのスタート
- 先行力はあるがスプリント適性は未知数
- “距離短縮”がハマれば大駆けも期待できる一方、流れが合わないと苦戦か
ウイングレイテスト(牡6)
- 昨秋スワンS勝ち馬、主戦場は1400m
- 8枠16番の大外枠
- 初の1200mで道中追走が忙しくなる可能性も
- 折り合いがついて直線の末脚を活かせれば穴を開けるかも
ママコチャ(牝6)
- 2023年スプリンターズS優勝馬(父スクリーンヒーロー)
- 7枠15番、やや外めからの先行策が予想される
- 前走阪神Cは10着と敗退、仕切り直しの一戦
- 前年秋のスプリントGⅠ馬として実績上位だが、直行ローテがどう出るか
ルガル(牡5)
- 同じく昨秋スプリンターズSを制した新星
- 3枠6番、好位差しが持ち味
- 香港遠征の結果は振るわなかったが、地力は高い
- 父系不明ながらスプリント戦の適性は証明済み
モズメイメイ(牝4)
- 圧倒的スピードが持ち味の4歳牝馬
- 1枠2番でハナを奪えれば大きなアドバンテージ
- ただし逃げ馬には厳しい中京1200mのGⅠ
- 良馬場&前半緩めの展開になれば粘り込みもあり得る
ソンシ(牡5)
- オープン特別を勝ち上がってきた伏兵
- 2枠4番からスピードを活かす競馬が理想
- 重賞実績がなく一気の相手強化だが、内で脚を溜められれば一発あるか
キタノエクスプレス(牡6)
- 抽選突破で滑り込み出走の伏兵
- 8枠17番、大外2頭目からのスタート
- 目立つ実績はないが、雨馬場や混戦になれば浮上の可能性も
- 追い込み脚質ではないだけに、どこまで粘り切れるか
まとめ:今年も波乱必至?
- “前哨戦好走組”ד先行・差し脚質”דスプリント血統”
この3つが揃っている馬はやはり有力視されます。エイシンフェンサーやトウシンマカオなど、前哨戦を好走してきた先行タイプが人気の中心になりそうです。 - “道悪”になれば外枠や人気薄が怖い
天気次第ではマッドクールやナムラクレアなど、外枠差し馬の突き抜けがあっても不思議ではありません。また、過去には大荒れ決着も多く、波乱含みの一戦と言えます。 - “距離短縮組・逃げ馬”は展開次第
近年の傾向では難しいとされつつも、展開がハマれば一気に台頭できるのがスプリント戦の怖さ。ウインカーネリアンやモズメイメイがどう立ち回るかも見ものです。
いずれにせよ、「前に行き過ぎず、後ろ過ぎず」の好位差しが王道パターン。雨が降るかどうかで枠順の有利不利も変わり、過去10年で3連単10万馬券オーバーが4回も出ているように、まさに油断ならない一戦です。
スプリント王としての名誉を手にするのは果たしてどの馬なのか。レース当日はぜひ、血統・枠順・脚質などのポイントを押さえながら観戦してみてください。
(あとがき)
最後までご覧いただきありがとうございます。高松宮記念は、毎年予想しがいのある“荒れるGⅠ”の代表格。過去データや血統、脚質を基に狙い馬を絞り込んでいく過程も競馬の楽しみのひとつですよね。
この記事が少しでも予想の参考になれば幸いです。みなさんが素敵な競馬ライフを送れますように!
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