こんにちは。今回は、ニュージーランドトロフィー(NZT)からNHKマイルカップへと続く流れをテーマに、過去の傾向や注目ポイントをわかりやすく解説します。
毎年春の中山競馬場・芝1600m(外回り)で行われるNZTは、3歳馬のマイルG1戦・NHKマイルカップの重要な前哨戦です。ここで3着以内に入った馬は本番への優先出走権を獲得できるため、多くの有力3歳マイラーがこぞって参戦します。過去のデータを振り返ると、NZT上位馬や惜敗馬の中からNHKマイルCで大きく飛躍するケースも多く、一筋縄ではいかない“トライアルらしい”奥深さが見えてきます。
1. NZT上位馬のNHKマイルC成績:過去の傾向
- NZT上位組は軽視禁物
過去10年(2015~2024年)でNZT出走馬のNHKマイルC成績は【2-2-2-38】と、勝ち馬こそ多くないものの2着・3着に入る馬もおり、NZT組が絡む年も少なくありません。2023年にはシャンパンカラー(NZT3着)→NHKマイルC優勝、ウンブライル(NZT2着)→NHKマイルC2着というNZT組のワンツー決着も誕生しています。 - NZT馬券内=必ずしも本番好走とは限らない
NZTを勝った馬が、そのままNHKマイルCも連勝するケースは意外と多くありません。近年では2012年カレンブラックヒルが代表格ですが、他のNZT優勝馬はNHKマイルCで苦戦する例が目立ちます。一方、NZTは惜しいレースに終わったものの、本番で巻き返すケースもしばしば。NZTの着順だけでNHKマイルCの成績を判断するのは要注意です。
2. NZTで敗れた馬の“巻き返し”に要注目
NZTを取りこぼしても、本番で一変する馬が少なくありません。具体例をいくつか見てみましょう。
- ロジック(2006年):NZT3着→NHKマイルC優勝
- ジョーカプチーノ(2009年):NZT3着→NHKマイルC優勝
- マイネルホウオウ(2013年):NZT7着→NHKマイルC優勝
- ケイアイノーテック(2018年):NZT2着→NHKマイルC優勝
- シャンパンカラー(2023年):NZT3着→NHKマイルC優勝
いずれも中山マイルで伸びを欠いていた差し馬が、広い東京コースで末脚を爆発させる典型例です。中山の急坂と短い直線で追い込みきれなかった馬が、東京の長い直線に替わることで一気に突き抜けるシーンが目立ちます。「NZTの着順にかかわらず、潜在能力が高い馬が東京マイルで素質を開花させる」パターンをぜひ頭に入れておきましょう。
3. NZT経由でNHKマイルCを制した馬たちの特徴
近年、NZT経由でNHKマイルCを勝ち取った馬たちの血統や脚質を見てみると、“スピードと底力を兼ね備えた配合”が一つのキーワードとして浮かび上がります。
- カレンブラックヒル(2012年)
父ダイワメジャー×母父Grindstone。逃げて押し切る先行力が魅力。 - マイネルホウオウ(2013年)
父スズカフェニックス×母父フレンチデピュティ。後方一気の差しで戴冠。 - ケイアイノーテック(2018年)
父ディープインパクト×母父Smarty Jones。切れ味抜群の末脚が武器。 - シャンパンカラー(2023年)
父ドゥラメンテ×母父レックレスアバンドン。道悪も苦にしないパワーと瞬発力で差し切り勝ち。
先行型・差し型こそさまざまですが、いずれも「瞬時に加速できる決め手」があるタイプが多い印象です。また、米国型スピード血統やノーザンダンサー系の血を内包していると、東京マイルのスピード決着にも対応しやすいという傾向も指摘されています。
4. NZT出走馬のその後:マイルG1・G2戦線での活躍
実はNZTに出走した馬たちは、NHKマイルCを経て古馬のマイル路線でも活躍するケースが多々あります。
- リアルインパクト(2011年NZT出走)
NZTでは凡走も、NHKマイルC3着→その後、同年安田記念で3歳馬優勝の快挙。 - グランプリボス(2011年NZT3着)
NHKマイルC優勝→翌年安田記念2着と古馬G1でも堂々の競馬。 - カツジ(2018年NZT優勝)
NHKマイルCでは10着に終わるも、のちにスワンステークス(G2)を制し、マイルチャンピオンシップでも5着と善戦。
NZT組のマイル適性は3歳春だけでなく、古馬になってからも花開くことがあります。NZT時点での評価にかかわらず、将来的に大きく飛躍する可能性を秘めているので、気になった馬はぜひ長い目でフォローしてみてください。
5. NZTとNHKマイルC:レース傾向とコース適性の違い
同じマイル戦でも、中山芝1600m(外回り)と東京芝1600mでは求められる適性が大きく異なります。
- 中山芝1600m(NZT)
- スタート直後に急坂、コーナー数が多く、直線が短め。
- 先行馬が押し切りやすく、差し馬は早めに動かないと届かない年が多い。
- 例:2021年NZTはバスラットレオンが大逃げを決めたように、逃げ切りが目立つ。
- 東京芝1600m(NHKマイルC)
- 直線が長く、スタミナも要求されやすい。
- ペースが上がりやすく、ハイペースの消耗戦になる年が多い。
- 差し・追い込みが届きやすい条件で、NZTで伸びきれなかった馬が巻き返すパターンも多数。
コースの違いを“読み替え”する重要性
- NZTで前残りだった年:本番の東京は広々としたコースなので、差し勢が巻き返す可能性大。
- NZTでハイペースだった年:NHKマイルCでも同じように消耗戦になりやすく、スタミナ&末脚勝負になる場合もある。
- 馬場状態:NHKマイルCは良馬場なら1分32秒台の高速決着が珍しくない一方、渋れば差し決着になりやすい。NZTの馬場傾向と本番当日の馬場を照らし合わせながら予想したいところです。
6. まとめ:NZTの結果は有力な判断材料だが過信は禁物
- NZT上位馬は軽視しづらい
過去10年のNHKマイルC連対馬の中にはNZT組の名がちらほら。特に近年はNZT組のワンツー決着まで出ています。 - NZTでの敗戦馬が本番で大駆けする可能性も
中山と東京ではコース形態が大きく違うため、NZTの着順だけで評価しきれないのが面白いところ。 - 血統面は要チェック
米国型スピード血統やノーザンダンサー系を持つ馬は一変の可能性あり。とくにフレンチデピュティ系などはデータ的にも要注目です。 - 展開・馬場次第で差し馬が台頭
東京マイルの長い直線と高速決着は、NZTで届かなかった末脚を存分に活かすチャンス。 - 古馬になってからも飛躍するNZT出走馬
リアルインパクトやグランプリボスなど、後のマイルG1戦線で主役を張る馬が続々出現。NZTでの結果だけで見限るのはもったいない!
今年のNHKマイルCを予想する際は、「NZTというトライアルでどういう走りをしていたのか」を振り返りつつ、「東京マイルへの適性や展開の変化、血統傾向」を踏まえて馬券を組み立てるのがポイントになるでしょう。もちろん、NZTで結果を出せなかった馬が一気に巻き返すパターンにも要注意です。
ぜひ、NZTからNHKマイルCにかけての“登竜門レース”ならではのドラマを楽しみながら、今年のマイル決戦に備えてみてくださいね。皆さんの予想が的中することを願っています!
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