桜花賞とは? 〜春を告げる3歳牝馬クラシックの第一関門〜

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桜花賞とは?〜春を告げる3歳牝馬クラシックの第一関門〜

桜花賞(おうかしょう)は、毎年4月上旬の日曜日に阪神競馬場で行われる3歳牝馬限定のクラシック競走です。イギリスの「1000ギニー」を範として1939年に創設され、当時は「中山四歳牝馬特別」と呼ばれていました。1947年に現在の「桜花賞」に改称され、1950年以降は主に阪神競馬場で定着。芝1600m(外回りコース)を舞台に、“スピードと早熟性”を兼ね備えた若き牝馬の頂点を競います。

さらに本競走は、牝馬三冠(桜花賞・オークス・秋華賞)の第一関門としても重要な位置づけとなっています。毎年、桜が咲き誇る季節に行われることから「桜花賞」の名がぴったりの、春を告げる華やかなレースです。

1980年代:GI昇格と史上初の牝馬三冠

1984年に競走の格付け制度が導入されると、桜花賞はクラシック競走としてGIに格付け。これ以降、日本の牝馬クラシック路線の中核として定着しました。

そして1986年には、メジロラモーヌが桜花賞・オークス・エリザベス女王杯(当時3歳牝馬路線)を制して史上初の牝馬三冠を達成。桜花賞馬が牝馬三冠を果たすのは初めてで、偉大な瞬間として語り継がれています。

1987年にはマックスビューティが2着に8馬身差をつける圧勝劇、1989年には19歳の武豊騎手がシャダイカグラで桜花賞を制覇するなど、華やかな話題が絶えない時代でした。

※1975年にはテスコガビーが約11馬身差の逃げ切り勝ちを演じ、「後ろからは何にも来ない!」という伝説的実況が残っています

1990年代:波乱と名牝の世代交代

1990年代の桜花賞では波乱名牝の活躍が目立ちました。牝馬クラシック路線を大きく左右する出来事が多く、1996年には秋華賞が新設され、牝馬三冠の概念が確立したのもこの時期です。

1990年(アグネスフローラ)1993年(ベガ)は、引退後に繁殖牝馬として大成功を収め、ダービー馬やGI馬を輩出。牝系を拡大し、「名牝の母」として歴史に名を刻みました。

また1995年は阪神淡路大震災で阪神競馬場が被災したため、京都競馬場での代替開催に。1番人気の地方馬ライデンリーダーが4着に敗れる波乱となり、ワンダーパヒュームが勝利しています。

1997年は最優秀2歳牝馬メジロドーベルと無敗馬キョウエイマーチの「2強対決」が話題に。逃げたキョウエイマーチが粘り切り、世代交代の印象を強く残しました。翌1996年にはエアグルーヴが出走直前に発熱回避する波乱もあり、代わってファイトガリバーが優勝するなど、ドラマが絶えない時代でした。

2000年代:再び牝馬三冠馬が誕生&新旧スター対決

2002年(第62回桜花賞)のアローキャリー、2008年(第68回桜花賞)のレジネッタ&エフティマイアは共に低人気での激走。3連単配当が70万円近く飛び出す大波乱が注目を集めました。

2003年にはスティルインラブがメジロラモーヌ以来17年ぶりの牝馬三冠を達成し、鞍上の幸英明騎手にとっても嬉しいGI初勝利に。新時代の名牝登場として大きな話題を呼びました。

さらに2004年ダンスインザムード2005年ラインクラフトシーザリオの対決など、新世代同士のハイレベルな争いがファンを沸かせます。2007年ダイワスカーレットは、外回りコース採用初年度に逃げ切り勝ちを演じ、兄ダイワメジャーとのクラシック兄妹制覇も大きな話題に。

2009年にはブエナビスタが単勝1.2倍の人気に応えて桜花賞・オークスを連勝。その後ジャパンカップなどを制し、歴史的名牝への道を歩み始めました。

2010年代:名牝の競演と記録更新

この時代は牝馬三冠馬が続々誕生し、豪脚勝負や大接戦も頻発。さらに外国人騎手の活躍や高速決着など、桜花賞がより一層スピーディーでドラマチックなレースに進化します。

2010年(アパパネ)2012年(ジェンティルドンナ)2018年(アーモンドアイ)と、わずか10年足らずで牝馬三冠馬が3頭も誕生。歴代最強牝馬論争が加熱し、桜花賞の重要性が改めて浮き彫りになりました。

2014年(ハープスター)の道中最後方からの“ごぼう抜き”、2016年(ジュエラー vs シンハライト)の写真判定にもつれる大接戦、2017年(レーヌミノル)の波乱など、後方一気や僅差勝負が増加。阪神外回りコースならではの末脚決戦がファンを魅了しました。

またC.デムーロ騎手M.デムーロ騎手C.ルメール騎手といった外国人騎手の活躍も目立ち、2018・2019年にはルメール騎手がアーモンドアイ、グランアレグリアで連覇。桜花賞の勝ちタイムも高速化し、競馬のスピード化傾向を象徴するレースとなりました。

2020年代:無敗の女王と白毛馬の快挙

2020年の桜花賞を制したデアリングタクトは、オークス・秋華賞も制して史上初の無敗牝馬三冠を達成。無観客開催という異例の状況下での偉業は、人々に大きな希望を与えました。

2021年にはついにソダシが“白毛馬によるクラシック制覇”という前代未聞の快挙を成し遂げます。しかもタイムは1分31秒1のレースレコード。真っ白な桜花のイメージに重なる馬体で、大きな注目を集めました。

2022年はスターズオンアースが直線で不利を受けながらハナ差勝利。オークスも制して二冠牝馬となり、あと一歩で三冠に迫る奮闘を見せました。

2023年リバティアイランドは、スタートで出遅れながら上がり3ハロン32秒9の“別次元の末脚”を披露し、その後オークス・秋華賞も制覇。今世紀を代表する三冠牝馬の誕生に、競馬ファンは熱狂しました。

まとめ:桜花が舞う春、ヒロイン誕生の舞台はこれからも

1939年の「中山四歳牝馬特別」から始まった桜花賞は、80年以上にわたって名牝と名勝負の宝庫であり続けています。牝馬三冠を目指す挑戦や、大波乱を呼ぶ伏兵の激走、そして新世代スターの登場など、語りつくせないドラマがここに詰まっています。

特に近年は桜花賞馬=その世代の頂点という流れが顕著で、三冠馬や後のGI常連となる名牝を次々と送り出してきました。4月上旬に阪神競馬場で繰り広げられる、桜花と歓声に包まれた舞台。ファンならずとも一度は見ておきたい日本競馬の春の風物詩と言えるでしょう。

参考資料

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